りんごの摘花・摘果のやり方|山形の現役農家が教える3つのコツ

こんにちは!シャテヲマルグ農園です。

今日は、りんごの摘花について話してみたいと思います。

ところで皆さん、こんな悩み、ないですか?

  • 摘花と摘果、何が違うのかよく分からない
  • いつやればいいのか、時期の判断ができない
  • どの実を残して、どれを落とすか迷う
  • せっかく咲いた花、なった実を落とすのが「もったいない」

実は当農園、今までずっと摘花をやってきませんでした。

それを今年から、試験的に始めたんです。

50年以上りんごを作ってきた農家が、なぜ今になって新しい作業を取り入れたのか。

この記事では、現役農家として実際にやっている摘花・摘果のやり方を、3つのコツに絞ってお伝えします。

読み終わる頃には、皆さんの「もったいない」が「これは投資だ」に変わっているはずです。


山形県寒河江市でりんごやさくらんぼ、お米

などを育てるシャテヲマルグ農園です。

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目次

りんごの摘花と摘果の違い|まずここを押さえる

結論から言うと、摘花は「花の段階で落とす」、摘果は「実になってから落とす」作業です。

同じ「数を減らす」目的でも、タイミングが違うんです。

摘花と摘果、それぞれの定義

摘花(てきか):満開〜満開後1週間くらいに、咲いている花の一部を取り除く作業

摘果(てきか):実が膨らんできてから、残す実を選んで間引く作業

呼び方は同じ「てきか」ですが、漢字も意味も別物。

摘花の方が早いタイミングで行います。

摘花

なぜ両方やるのか|目的は3つ

1. 味を良くする:残った実に栄養が集中する

2. 大きさを揃える:全部育てると小ぶりになる

3. 隔年結果を防ぐ:実をならせすぎた翌年は不作になりやすい

「隔年結果(かくねんけっか)」というのは、たくさん実った翌年に木が疲れて実をつけなくなる現象のこと。

これを防ぐためにも、毎年安定して実をつけさせるための調整が必要なんです。

当農園は今まで摘花をやってこなかった

ここ、正直に書きます。

当農園では50年以上りんごを作ってきましたが、摘花はずっとやってこなかった作業でした。

「摘果だけで十分」というのが父の代からの考え方だったんです。

ただ、近年は気候の変化で開花から結実までの流れが早くなったり、人手が足りなくて摘果に時間がかかったりするようになりました。

それなら、花の段階で先に減らしておけば、後の摘果が楽になるのでは

という発想で、今年から試験的に始めたんです。

りんごの摘花・摘果の時期|山形・寒河江の場合

時期の感覚は産地によって全然違います。ここでは山形県寒河江市の当農園の例で書きますね。

山形・寒河江での目安

作業時期目的当農園の2026年実績
摘花満開〜満開後1週間早めに数を減らして気の負担を軽くする5月3日に開始
荒摘果 満開後30日前後形・大きさを見て大胆に間引く5月下旬〜6月上旬
仕上げ摘果満開後60日前後最終の数を決める。残す実に栄養を集中6月下旬〜7月上旬

青森より少し早い、寒河江の気候

ネットで「りんご 摘果 時期」と調べると、青森の情報が多く出てきます。

ただ、山形・寒河江は青森よりも気候的に少し早いのが特徴。

寒河江は内陸の盆地気候で、春の昇温が比較的早く、5月の連休前後に満開を迎えることが多いです。

「青森と同じスケジュールで動くと遅れる」というのが、当農園の感覚です。

現役農家が教える3つのコツ

ここからが、皆さんが一番知りたいところ。

当農園で実際にやっている、摘花・摘果の判断基準を3つに絞ってお伝えします。

コツ①
「中心果を残す」が基本ルール

りんごの花は、1か所にまとめて5〜6個咲きます。これを花叢(かそう)と呼びます。

この中で、真ん中に最初に咲く花が「中心果(ちゅうしんか)」

これが一番大きく、形も良くなりやすい実です。

基本ルールはシンプル。

中心果を1個残して、まわりの側果を落とす

これが摘花でも摘果でも共通の考え方

コツ②
上向きの実より、横〜下向きの実を残す

りんご栽培で一般的に言われているのが、実の「向き」で判断する考え方です。

上を向いている実は、雨や鳥にやられやすい

一方、横〜下向きの実は、果皮もきれいに仕上がりやすいと言われています。

形の見栄えに直結するポイント。

中心果を優先しつつ、向きも見て判断する。

これを意識するだけで、収穫期の見た目がだいぶ変わります。

コツ③
迷ったら「拳1個分の感覚で残す」で残す

「で、結局1本の木に何個残せばいいの?」これが一番悩むポイントですよね。

当農園で実際にやっているのは、残す実と実の間が拳1個分(約10cm)空くように間引くやり方です。

葉の枚数を数える方法もあるんですが、現場で1枚ずつ数えるのは正直しんどい。

拳をかざして「これくらい空いてればOK」と感覚で判断する方が、何倍も速くて続けられます。

近すぎる実は、お互いの栄養を奪い合うだけでなく、実同士がぶつかって傷の原因にもなります。

拳1個分——この感覚を体で覚えると、迷う時間が一気に減りますよ。

摘花・摘果でよくある迷いと答え

実際に作業していると、「えっ、これどうするの?」という場面に必ず出会います。当農園でよくある迷いをまとめました。

中心果が傷んでいたらどうする?

迷わず側果を残します

中心果が必ず一番いいとは限りません。

傷や形の悪さがある中心果より、健康な側果を選ぶ。

これは現場の判断です。

ダブル果(双子の実)はどっちを残す?

2つの実がくっついて育つ「ダブル果」は、両方落として別の中心果を残すのが基本。

ダブルのままだと、収穫期に変形果になりやすいです。

「もったいない」気持ちを乗り越える農家の本音

正直に言いますね。

農家でも、最初は「もったいない」と感じます

でも、こう考えるようにしています。

「100個の小さい実」より、「30個の最高の実」を残すための投資

落とすのは「捨てる」ではなく「残した1個に集中させる」作業。

この考え方に切り替えると、迷いがだいぶ減ります。

今年から摘花を試験導入してみた

ここは当農園の、今年のリアルな作業記録です。

なぜ今年から摘花を始めたか

正直に言うと、最初は「摘花と摘果って何が違うんだろう?」という素朴な疑問からでした。

りんごを始めた当初から、当農園は摘果だけでやってきました。

でも、最近始めた私は「摘花って何だろう?」と思い始め、だったらまずは自分でやってみないと違いもわからない、そんな軽い気持ちで、試験的に始めたんです。

実際にやってみて見えてきた、摘花が必要な3つの理由

いざ作業してみると、「これは確かに摘花した方がいいかも」という理由が次々と見えてきました。

理由 ① 時期的な重なり(他の仕事との競合)

これが一番デカいです。

5月後半〜6月にかけて、当農園は さくらんぼの収穫準備・水稲の田植え・草刈り など、本当に手が回らない時期。

本来ならさくらんぼや米に集中しなくちゃいけないのに、その時期にりんごの摘果も同時進行で抱えると、結局どれもおろそかになるんです。

花の段階(5月初旬)に先に減らしておけば、満開後の摘果作業がだいぶ楽になる

これ、机上の話じゃなくて、5月の朝に田んぼと畑を行ったり来たりしていて、身体で痛感しました。

理由② 作業効率の低下(葉が茂って実が見えない)

これも現場で気づいたこと。

葉が生い茂ってから摘果しようとすると、実が探しにくいんです。

「あれ、ここにも実あったっけ?」みたいな状態になる。

一方、花の段階なら、まだ葉が少ないので、花叢(かそう)の位置が一目瞭然。

判断もスピーディです。

来年は 摘花の作業時間もちゃんと計測して、摘果と比べてどっちが効率いいか、数字で答えを出したいと思っています。

理由③ 隔年結果のリスク

これは一般的に言われていることですが、実をならせすぎた翌年は木が疲れて不作になる「隔年結果」

花の段階で先に減らしておけば、木への負担が軽くなる。

これも摘花の意義の一つ、と言われています。

結論|本当の春先にやるのが正解かも

3つの理由を総合して、現時点での実感はこうです。

当農園で言えば閑散期にあたる本当の春先、花が咲き始めるか、咲いた直後くらいの時期に摘花を済ませてしまった方がいい。

「忙しい時期に作業を集中させない」というのは、農業経営として当たり前のはずなのに、これまではなんとなく後回しにしてしまっていた。

やってみないと気づけないことって、本当にあるんだなと実感しています。

来年に向けて見えてきたこと

まだ試験初年度なので最終結論は出せませんが、現時点での見立て:

– 花の段階で減らすと、後の摘果が見通しやすくなるのは確実

– ただし、摘花で取りすぎるリスクもある(実がつかない可能性)

– 来年の結実状況と、摘花・摘果それぞれの作業時間データを揃えて、続けるかどうか最終判断する予定

結果はまた、収穫期に報告します。

摘果したりんご、どうしてる?

「落とした実、捨てるだけ?」とよく聞かれます。

当農園では、基本的には畑にそのまま落として土に還すやり方です。

摘果後の小さい実は固くて酸っぱいので、食用には向きません。

ただ、ある程度大きくなった摘果りんごには、お酒に漬けてリキュール(りんご酒)にするという、なかなか粋な活用法があります。

実はこれ、私が以前試してみたやり方なんです。

梅酒を作る感覚で、思ったよりずっと簡単にできますよ。

りんご酒の作り方|順を追って解説

① 容器の準備

まずは漬け込み用の容器から。

広口の容器が望ましいです。

りんごを丸ごと入れたり取り出したりするので、口が狭いと地味にストレス

ガラス製かプラスチック製の透明な容器を選びましょう。

中身の色の変化を観察するのも、自家製の楽しみのひとつです

② 材料と漬け込み

材料はシンプル。

りんご・ホワイトリカー・氷砂糖の3つだけです。

材料分量ポイント
摘果りんごお酒の容量の 5割くらい7月下旬頃に摘果したものを使用。
よく水洗いして 2〜4つ割りに。種子も必ず一緒に入れる
ホワイトリカー(35度)1.8Lスーパーで普通に買えるやつでOK
氷砂糖100g甘さは控えめ。後で蜂蜜などで調整も可

種子を使うのは、ここが意外と大事なポイント。

種子からも香りや風味が出るので一緒に漬けてください。

③ 引き上げと熟成

果肉は10〜14日で取り出します(漬けっぱなしにすると雑味が出るため)

ただし、種子はそのまま残しておくのがコツ

その後、3〜4ヶ月でゆっくり熟成。

だんだん 褐黄色(淡い飴色) に色づいていきます。

日を追うごとに色が深くなっていく様子が、自家製ならではの楽しみ。

りんご酒の効能

言われている効能としては、こんな話があります。

– 疲労回復

– 食欲増進

– 消化促進

– 冷え性対策

– 美容

晩酌の一杯にちょうどいいので、夏の終わりに仕込んで、年明け頃にちびちび楽しむ。

そんなサイクルがおすすめです。

※自家製のお酒は、自分や家族が飲む分(家庭内消費)のみ が認められています。

販売や知人への譲渡はできないのでご注意ください(酒税法)。

まとめ|摘花・摘果は「引き算で味を作る」作業

ここまで読んでくれた皆さんは、もう迷いません。

要点を振り返ります。

違い:摘花は花の段階、摘果は実の段階で減らす作業

時期:山形・寒河江なら摘花が5月初旬、粗摘果が5月下旬〜6月上旬

3つのコツ:①中心果を残す ②横〜下向きを優先 ③葉の枚数で判断

迷ったとき:傷んだ中心果は捨てる、ダブル果は両方落とす

心構え:「もったいない」は 「残した1個への投資」 に切り替える

この5つを押さえれば、明日から摘花・摘果の作業に迷わず手が動くはずです。

落とす1個1個が、秋の最高の1個を作るための投資。

そう思って手を動かしてみてください。


ちなみに当農園、今年から試験的に始めた摘花の答え合わせは、秋の収穫期にする予定です。

「あの試験、結局どうなった?」が気になる方は、[Xアカウント]かブログをフォローしてもらえると、結果が出たタイミングでお知らせできます。

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この記事を書いた人

山形県寒河江市で、果樹と米を育てています。祖父の代から続く農業経営50年。さくらんぼ・りんご・プルーン、そしてお米。一つひとつを家族の手で大切に。山形・寒河江からお届けします。

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