認定新規就農者は何歳まで?50歳の私に残っていた制度は一つだけでした

先日、農業技術普及課に経営相談に行ってきました。

聞きたかったのは2つです。

認定新規就農者になった方がいいのか。

うちの農業を、どうやって黒字にするのか。

その場でもらった「新規就農ガイドブック」を家で読み込んで、正直、気持ちがかなり動きました。

嬉しかったこと、悔しかったこと、そして「やったろうか」と思ったこと。

同じように迷っている方の役に立つかもしれないので、正直に書きます。


山形県寒河江市でりんごやさくらんぼ
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目次

「農業って、こんなに儲かるんですか?」

ガイドブックに「主要作目別経営指標一覧」という表が載っていました。

品目ごとに、10aあたりどれくらい穫れて、いくらの収入になるか。

その目安が並んでいる表です。

見た瞬間、思わず職員さんに聞きました。

「農業って、こんなに儲かるんですか?」

返ってきた答えは、こうでした。

「あくまで、これは理想の数字です」

——なるほど、と思いつつ。

でも、こういう資料が県から出ているなら、やっぱり信じたくなります。

「農業っていいな」と、あらためて思いました。

(この指標が本当に届く数字なのかどうかは、後日、義父の畑と比べて確かめました。その話は別の記事に書きます)

うちの農業は「昔ながら」だった

同時に、はっきり見えてしまったこともあります。

うちの農業が、古い形のままだったということです。

祖父の代から続いてきた畑を、父はずっと守ってきました。

「なんとか繋がなければ」という思いだったんだと思います。

その気持ちは、痛いほど分かります。

でも、経営という目で見ると、うちは昔ながらのやり方から一歩も動いていませんでした。

守ることと、伸ばすことは、違うんですね。

私が50歳になって、ようやくそこに気づきました。

49歳までなら、年165万円もらえた

ここからが、悔しかった話です。

ガイドブックには、新規就農者向けの支援制度がいくつも載っていました。

その中に、こういうものがありました。

経営開始資金

  • 対象:経営開始時に49歳以下の認定新規就農者
  • 交付:月13.75万円(年165万円)/最長3年

3年で、およそ495万円です。

もうひとつ、経営発展支援事業という制度もありました。

機械や施設の導入に、事業費の4分の3が補助されるもの。

こちらも49歳以下でした。

私は、50歳です。

1年、遅かった。

それでも、振り切れなかった理由がある

でも、悔しがってばかりもいられません。

40代のうちに農業に振り切れなかったのには、理由があるからです。

息子を、一人前にすること。

義務とまでは言いませんが、私にとっては大事な役割でした。

家族がいて、これから一番お金がかかる時期で、そこで会社を辞めて農業一本にするという判断は、どうしてもできませんでした。

だから、これは仕方ない。

そう思っています。

ただ、あと4年です。

4年我慢すれば息子も大学を卒業して、お金の心配はだいぶ減ります。

そこから、本気で黒字化に持っていく。

今はそのための準備期間だと思って、相談しながら進めているところです。

一つだけ、65歳まで使える制度があった

年齢で外れた制度ばかりの中に、一つだけ見つけました。

新規就農者チャレンジ事業です。

  • 対象:認定新規就農者で、就農時の年齢が65歳未満
  • 中身:農業用機械・施設の取得(中古も可)、修繕、果樹の新植・改植、機械のリース料など
  • 補助対象事業費:上限1,500万円/補助3/10以内

ここで一つ、勘違いしやすい点を書いておきます。

これは「毎月いくらもらえる」という生活資金ではありません。

何かを買ったり、木を植え替えたりしたときに、その費用の一部が補助されるという制度です。

でも、うちにとってはこちらの方が現実的でした。

今まさに、りんごの木を27本植え替えようとしているところだからです。

果樹の改植が対象に入っている。

これは大きいと思いました。

「認定農業者」と「認定新規就農者」は別物です

ここで用語を整理しておきます。

私も最初、ごちゃ混ぜにしていました。

認定農業者認定新規就農者
誰が対象かすでに農業をやっている人これから農業経営を始める人
出すもの農業経営改善計画青年等就農計画
窓口市町村市町村

普及課では「認定農業者は急がなくてもいい」と言われていました。

でも、ガイドブックをよく読むと、認定新規就農者の方は話が別でした。

「これから始める人」の制度なので、タイミングを逃すと使えなくなる可能性があります。

ちょっと急いでもいいかもしれない。

そう考え直したところです。

兼業農家は、認定を受けられないのか?

ここで疑問が湧きました。

私のような兼業(会社員をしながらの農業)でも、認定を受けられるのか。

調べていくと、年間の労働時間に基準がありました。

計画書に「1年でこれだけ働きます」と書いて、市に認定してもらう必要があります。

ここで一つ、大事なことが分かりました。

この数字、自治体によって違います。

私が住む寒河江市は、公式サイトに具体的な数値を出していませんでした。

書かれていたのは「5年後までに農業で生計が成り立つ見込みで、実現可能な計画であること」という表現だけ。

そこで、隣の大江町のページを見てみました。

  • 5年後の農業所得:概ね200万円以上(専業的農業従事者1人当たり)
  • 年間総労働時間:概ね1,900時間(同上)

他の地域も調べてみると、1,800〜2,000時間あたりで設定しているところが多いようでした。

だいたいこのくらい、と思っておけばよさそうです。

(うちの市の正確な数字は、次に市役所に行くときに聞いてきます)

1,800時間を、365で割ってみた

最初にこの数字を見たときは「無理だろう」と思いました。

会社に勤めながら、年間1,800時間なんて。

でも、割ってみたんです。

365日で割ると、1日あたり約5時間。

2,000時間だとしても、5時間半です。

土日をしっかり使えば、平日は4時間ちょっとでいけるのではないか。

そう考えたら、急に現実味が出てきました。

やったろうか。

正直、そう思いました。

これから兼業農家が増えるんじゃないか

もうひとつ、考えたことがあります。

会社で副業が認められる時代になってきました。

だとしたら、兼業で農業をやる人は、これからどんどん増えるんじゃないか。

そして、もし兼業農家でも認定を受けられるなら。

耕作放棄地を減らす手立てのひとつになるかもしれません。

いきなり脱サラして農業一本、というのはハードルが高すぎます。

でも「会社に勤めながら、週末に畑をやる」なら、できる人はもっといるはずです。

私自身がそのスタイルなので、余計にそう思うのかもしれませんが。

認定を受けるメリットは、大きく4つ

普及課で聞いた、認定農業者のメリットです。

  1. 補助金 — 使える事業の入口が広がる
  2. 融資 — 有利な条件で借りられる
  3. 税制優遇
  4. 年金制度 — 農業者年金の保険料に補助がある

継続して農業をやっていくなら、融資は必ず必要になります。

木を植え替えるにも、機械を入れるにも、まとまったお金が要りますから。

補助金も同じです。

それでも、目指すことにしました

うちは今、赤字です。

隠しても仕方ないので書きますが、父の年金があって成り立っている経営です。

このまま私が引き継いでも、食べていけません。

そして、これから「シャテヲマルグ」というブランドを育てていきたいと思っています。

そう考えたとき、答えは一つでした。

継続して農業をやるなら、認定を目指すしかない。

50歳からのスタートです。

もらえたはずの補助金を、いくつも逃しました。

でも、まだ残っている道はある。

1日5時間。

やってみようと思います。

同じように「今から始めても遅いんじゃないか」と迷っている方がいたら、まずは地元の農業技術普及課に行ってみてください。

私が行ったときも、とても丁寧に対応してもらえました。

ガイドブックのような資料も、その場でもらえます。

年齢の条件は制度によって違うので、自分がどこに当てはまるのかは、聞いてみないと分かりません。

私も行ってみて、初めて知ったことばかりでした。

うちのさくらんぼやりんごは、こんなことを考えながら作っています。

もしよかったら、オンラインショップものぞいてみてください。

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この記事を書いた人

山形県寒河江市で、果樹と米を育てています。祖父の代から続く農業経営50年。さくらんぼ・りんご・プルーン、そしてお米。一つひとつを家族の手で大切に。山形・寒河江からお届けします。

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